「――それじゃあ、いつものように定期報告といこうか」
俺が切り出すと、円が最初に口を開いた。
「ではぼくから。アワーと共に噂の【有心会】の近くまで偵察に行ってきましたが、今までの反政府団体とは少し毛色が違う雰囲気がしました。例えるなら暴力団なんかに似たものを感じましたね。……まあ、あくまで感覚的な話ですけど」
「おやおや、それはこわいですねー」
「先輩、棒読みですよ」
「あははー。まーこっちには人数も力もありますから、のさばらせすぎなければ大丈夫でしょー。ねーキング?」
「そうだね」
「……ではぼくからは以上です」
少し不服げに座った円と入れ替わりに、レインが立ち上がる。
「ボクからは驚きの報告ですよー。といっても知らないのはビショップ、キミだけですけど」
「なんですか、もったいぶってないで早く言ってください」
「時空跳躍装置の、プロトタイプが完成したんですよ」
「……!」
レインがかいつまんで経緯を話すのを円は興味深そうに聞いている。彼をさらってここに閉じ込めて半年以上、円は円なりにここに適応して、そしてそれなりのやりがいを感じてくれているらしい。
「なるほど、そんなことが……感慨深いですね」
「うん、そうだね」
「機嫌がよかったのはこれですか、キング」
「もちろん。さて、俺からは政治に関する報告をしないとね――」
会議が会議らしいものから雑談に近く変わってきたころ、ふとレインの手にあるカエルが声を発した。
「そーいや、今日はキングの誕生日じゃなかったかー?」