アンケで多かったお題! みなさん私の書くエロをお求めなんですか……? 書けないっすよ!?

壊れた世界バージョンで!

早朝、ふと手にひやりとした感覚を覚えて、撫子はうっすらと目を開けた。

「トラ……?」

隣に眠っていた寅之助が撫子の手首をつかんでいる。寝ぼけているのだろうかと思ってそっと引き離そうとすると、意外に強めの力で掴まれている。もしかして起きているのだろうか、そう思ってもう一度、今度はしっかりと名前を呼んでみる。

「トラ? 起きてるの?」

「……ああ」

閉じられていた寅之助の目が開いた。身体の右側を下にするように横になっているために、前髪が下に流れて色の違う両眼がよく見える。

つかんだ手首を顔に寄せて、目を伏せるようにそれを見つめる寅之助の仕草を撫子は不思議に思う。

「どうしたの、トラ」

対する寅之助は少し不機嫌そうに、ぼそりと呟いた。

「……手首の痣」

ああ、と撫子は手を見下ろす。ちょうど寅之助が掴んでいる手首のあたりに、先日痣がついたのだった。

それは寅之助と撫子がほんの気まぐれで散歩をしていた時。十分に気を付けていたはずだったというのに、政府の警備員に見つかったのだ。

その時に、撫子が【ターゲット】だと知らない彼らは、数人がかりで寅之助に襲い掛かり、隙を突いて撫子を人質に取った。

――直後、寅之助の理性が吹き飛んだのは言うまでもない。

拘束された時についた痣は、色はまだ生々しいもののもう痛みはない。撫子は寅之助の手にそっともう片方の手を重ねた。

「心配してくれてるのならもう大丈夫よ」

「……そーいうんじゃねえ」

「じゃあどういうことなのよ」